個人型確定拠出年金”iDeCo”の簡単な説明、未来の出口戦略を説明していきます。とりあえず開始してみたけど最後どうしていいのかわからない。という人の参考になる記事です。
iDeCoって何?
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」という私的年金制度になります。
拠出(自分が積み立てる)額が確定している年金です。
自分で金融機関と商品を選び運用をするため、将来もらえる金額はそれぞれの運用方法によります。
以前解説した記事の通り、フリーランスの自営業は1階建ての国民年金しか加入しておりません。
そこに私的年金のiDeCoをプラス出来るようになります。
iDeCoの大きな特徴
その1:掛金が全額所得控除される
まずここが最大のメリット!
わかりやすく節税できるうえに未来の自分へお金を残せます。
積み立てた時点で最低税率15%(所得税5%+住民税10%)以上の節税効果になります。
本来は投資信託や株など買っても所得控除されるなんてことはありません。
国の制度だからこそ可能なことです。
累進課税が高い人ほど大きな効果を発揮します。
その2:運用益が非課税
通常、株や投資信託の運用益(「譲渡益」「配当益」)には一律20.315%の税金がかかります。
(所得税15.315%(※復興特別税を含む)+住民税5% )
これらが全て非課税になります。
例:100万儲かったら20万近い税金を引かれますが、丸々100万円手元に残ることになります。
その3:受け取り時の税制優遇
「年金」もしくは「一時金」として受け取り方法が選択できます(併用も可能)
年金:「公的年金控除」
一時金:「退職所得控除」
それぞれに控除がつきますので、上手く受け取れば課税されることがありません。
※ただし各金融機関によって併用は出来ないなど受け取り方が変わりますのでご注意ください。
加入できる人、掛金
加入資格
●満20歳以上60歳未満
●国民年金保険料を納付している(障害基礎年金受給者を除き、全額免除・半額免除等を受けていないこと)。
●農業者年金基金に加入していない
国民年金の支払いが苦しいときには免除申請を。と書きましたが、
免除状態ですとiDeCoに加入できませんので、まずは年金をきちんと払えるように頑張りましょう💪
掛金
加入区分 | 対象者 | 掛金(月額) |
第1号 | 自営業者、フリーランス、学生 | 68,000円 ※1 |
第2号 | サラリーマン、公務員 | 12,000円~23,000円 ※2 |
第3号 | 扶養されてる配偶者 | 23,000円 |
※1 国民年金基金、付加年金との合算
※2 公務員、企業型DC、DBに加入してるかで変動
iDeCoは月々最低5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定きます。
iDeCo公式からカンタンな加入診断が出来ますので是非ご利用ください。
期間
積み立て期間:60歳まで拠出、積み立てをしていくことが出来ます。
受け取り期間:60~70歳までの10年間の間に受け取り開始になります。
(受け取り方、受け取り期間は各金融機関で違いますのでご自身で調べてみてください)
iDeCoのメリット
・付加年金と同時に入れる(その場合には月額67,000円まで)
・自己破産で没収されない
・離婚しても年金分割対象に入らない
・商品がある程度厳選されているので、ゴミ商品をつかまされる可能性が減る
iDeCoのデメリット
・自身で金融機関、商品、受け取り方を選ばないといけないので、ある程度の知識と勉強が必要
・60歳まで引き出せない
最強最大のデメリットです。
(例外として死亡、高度障害、震災で多大な被害を受けた場合などは除く)
これは言い換えると「自分にも手出しが出来ないから絶対に貯められる」ともなります。
特別法人税の存在は知っておくべき
積立金に年率1.173%(国税1%+地方税0.173%)を課税する税金のことです。
1999年から2020年現在までずっと凍結され続けてます。
今後も凍結されるかは不明の為、特別法人税の存在は覚えておきましょう。
もし特別法人税が復活した場合、1.173%以上で運用出来てないと確実にマイナスになってしまいます。
※それでも購入した時点で所得控除の恩恵は受けてます。
商品や金融機関の選びかた
iDeCoには複数の手数料がかかります。
各金融機関で差が激しいので諸々考慮して選んでくださいね。
「iDeCo 金融機関 比較」などで検索してみることをオススメします。
手数料の一覧
手数料の種類 | 説明 | 金額 |
加入時手数料(一度きり) | どの金融機関でも必ずかかります | 一律2,829円 |
口座管理手数料(毎月) | 各金融機関で差がえぐいところ | 最低171円~600円超 |
掛金を拠出せずに運用している場合の手数料(毎月) | 拠出してなくても毎月手数料がかかります | 最低66円~500円超 |
信託報酬 ※1 | 金融機関は関係なく、購入した商品自体にかかる手数料(運用コスト) | 純資産総額に対して0.1%~数%超 ※2 |
※1:信託報酬は年率〇%で表記されたものを日割りで引かれます
※2:数十年間保有することを考えると、なるべく信託報酬が安いものを選ぶ方が無難です。
一般的に「アクティブ運用」商品は信託報酬が高く、「インデックス運用」商品は安い傾向にあります。
金融機関の比較一覧
(2020年10月時点)
金融機関 | 積立をする場合の手数料 | 運用のみの手数料 | 年金受取時の手数料 | 商品数 |
SBI証券 | 171円 | 66円 | 440円 | 67 |
楽天証券 | 171円 | 66円 | 440円 | 32 |
マネックス証券 | 171円 | 66円 | 440円 | 22 |
松井証券 | 171円 | 66円 | 440円 | 12 |
三菱UFJ銀行 | 556円 | 423円 | 440円 | 32 |
イオン銀行 | 171円 | 66円 | 440円 | 24 |
三井住友銀行 | 431円 | 326円 | 440円 | 25 |
信金中央金庫 | 474円 | 369円 | 440円 | 19 |
ゆうちょ銀行 | 430円 | 325円 | 440円 | 31 |
極一部の銀行を記載しております。
この表からわかるように、実店舗のある銀行は手数料が高く、ネット銀行は安くなる傾向にあります。
比較サイトを活用してみましょう
すでに楽天経済圏や金利目当てで楽天証券を作っている人は楽天でiDeCoを初めてみるのもいいかもしれません。
ちなみに「積み立てnisa」を楽天カードで購入すると1%ポイント還元がありますが、iDeCoの積み立てにはポイントはつきません(さすがにお得すぎる)
商品について
iDeCoには「元本確保型」と「投資信託」の2種類があります。
★元本確保型
①定期預金
銀行の定期預金と同じです。超低金利。
②保険
元本は保障されますが、途中解約するとペナルティが発生することも
★投資信託
株式 | 債券 | 複合型 | |
国内 | 国内株式 | 国内債券 | バランス型 |
外国 | 外国株式 | 外国債券 |
さらに外国でも「先進国」「新興国」と別れます。
一般的に「株式>債券」「新興国>先進国」という感じでリスク(変動率)が変わってきます。
商品選びに関しては絶対に自分で決めるべきところなので特におすすめなどはしません。
自分できちんと理解して選んだ商品でないと数十年に及ぶ運用に耐えられないからです。
主婦や、所得がない人がやる意味あるの?
たしかに所得控除という恩恵は受けられませんが、年金という性質上「自身が保有している金融資産」とみなされない為、自己破産、離婚しても守られるというメリットがあります。
※ただし離婚の場合には話し合いで分割することもありますのでその点ご留意ください。
つまり自分からも他人からも強固に守られてます(国税庁には負ける)
確定拠出年金法第32条
「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。」
と定められているためです。
また、普通に投資信託などを購入する場合には、iDeCoのシステムで購入した方が運用益に税金がかからない為お得になります。
絶対に損したくないから元本保証商品にします
安全第一で定期預金にする人も多いみたいです。
■元本保証商品のメリット
・普通に定期預金するより効率が良い(節税できるから)
・購入した時点で利率15%確保ともいえる
・自分の目標額を達成した投資信託をこれ以上値動きさせたくない。となった場合に元本保証商品に「スイッチング」をして利益確定することも出来る
■元本保証商品のデメリット
・円安に弱い
・インフレに弱い
・積立額以上に資産が増えることはない
・運用益非課税のメリットが死ぬ
・拠出時の手数料、受け取り時の手数料でむしろ数値的には減る
・特別法人税が復活したときマイナスになる
・運用会社が破綻した場合、全額返ってこないことがある
定期預金だと1000万円までしかお金が保全されない為(保険商品の場合は90%まで)
一方、投資信託であれば運用と保全は分離されているので全額保全されます。
効率よく金額を減らす行動
仕組みを把握してないと勿体ない使い方をしてしまいます。
(手数料クソ高い)
(毎月の購入手数料がかかる)
(支払い手数料が毎回440円かかる)
例:1万円を毎月定期預金にして将来毎月年金として受け取る
10,000円 -(口座管理手数料600円)-(年金支払い手数料440円)=8,960円
対処法:安い金融機関をきちんと選んで、定期預金にするなら年1回払いに変更、受け取り方も年何回払いの年金にするか一時金でもらうかきちんと考えましょう。
受け取り方を間違えると大損する可能性があります
小規模企業共済で大きな退職金を積み立てている場合には注意。
退職金が多いサラリーマンの方にも注意していただきたい部分です。
iDeCoはお得だと言われつつも「結局税金の繰り延べをしてるだけ」という意見もあります。
最後の引き出し時には結局税金がかかるからです。
★退職金の5年ルール
5年空ければそれぞれの退職金控除をフルで使える。という仕組みがあるのですが、確定拠出型年金に限っては、前年以前14年以内に他の退職金がある場合、退職所得控除の重複分が減額されてしまいます。
要するに先に何か退職金を受け取ってしまった場合、iDeCoを後から受け取ると15年空けないと重複期間に入れられてしまい退職金控除がフルで使えなくなります。
★iDeCoは先に下ろすのがお得になる
とだけ覚えておいてください。
こういった仕組みも今後変わる可能性がありですので、受け取り年齢が近くなった頃に計算すればいいんじゃないかなと。
今から考えすぎててもしょうがない部分ですので、あくまでこういうことがありますという知識として覚えておいていただければ💪
受け取り方法の一例
国民年金を繰り下げ受給して、70歳までの間をiDeCoで補う方法になります。
・65歳からの公的年金を繰り下げて70歳から貰う
★繰り下げは1ヵ月ごとに0.7%受給額UPします(5年間繰り下げで42%増)
・iDeCoを60代の10年間で非課税枠の範囲内で受け取っていくと
(60代前半70万×5年)+(60代後半120万×5年)= 950万円
まで年金方式で非課税で受け取れることになる
(ただし受け取り時に毎回振り込み手数料がかかることは考慮しましょう)
・繰り下げて70歳から受け取る国民年金が42%増えて(令和2年度満額)65,000円→92,000円ぐらいになります
掛金が払えなくなったとき
加入者資格喪失届を出すことにより、拠出をやめて「運用指図者」として運用だけを続けることが出来ます。
指図者になっても口座管理手数料、信託報酬はかかり続けます。
個人的には最低額5,000円だけでも続けるべきかなとは思います。
(コツコツと買い続けることでドルコスト平均法の恩恵をうけれるため)
掛金は年一回変更することが出来ますので自分の状況に合わせて変更しましょう。
何故こんなにお得なのか
優遇されすぎてて震えるレベルのiDeCo
何故こんなにお得なのか考えると
「公的年金だけじゃ老後の資金が確実に足りないだろうから今のうちに自分でどうにかしとけよ」という国からのメッセージだと私は受け取っております。
自分たちの親やおじいちゃんおばあちゃん世代と違って、公的年金だけで暮らせる仕組みは今の日本にはないかなと🤔
逆に資産形成をする手段も過去に比べて豊富に用意されており、私は今の時代の日本に産まれてよかったなあと日々実感してます。
小規模企業共済とiDeCoどっちがいい?
小規模企業共済:元本保証だけど1%しか増えない、元本割れしてもいいなら途中で引き出せる
iDeCo:元本がどうなるかわからないけど自分次第で大きく増やせる、60歳まで一切引き出せない
いずれにしても、資産形成は「余剰資金」でやるのが鉄則です。
自分の生活費や必要な貯金を削ってまでやるものではありません。
フリーランスの老後
老後2000万問題とか色々ありますが、定年が存在せず需要がある限り何歳になっても仕事が出来るのがフリーランスの強みなので、こんな細かい計算色々するより自分自身の稼ぐ力を強化していく方がよっぽど手っ取り速いと思います!!!
まとめ
・節税しつつ未来の自分にお金を残せる!
・自分の運用次第で大きく変わる!
・逆に知識がないと損する可能性もあるから気を付けて!
・60歳まで一切手を出せないお金だから注意!
・フリーランスは稼ぎ続けられるという強みがある!
それではまた💪